girikenのブログ

40歳の未婚おじさんが描く恋愛小説

40歳独身貴族のアバンチュール25(0105)

山道を歩くと、木々と共に虫も飛んでいる。
一般の女の子は虫を見て大騒ぎする子もいるだろう。
しかし、あやは物怖じしない。
さすが田舎育ちだけある。
それどころか、道端の草むらにいたバッタを素手で捕まえた。


「見て!久し振りにバッタを捕まえた!」


そう言って、手掴みしているバッタを健二の顔に近づけた。


「分かったからやめるよ」


昔はなんとも思っていなかった虫という存在。
しかし、40歳になると若干苦手な感覚になるのだな。
ひとつ、また勉強になった。


しかし、昔はこんな他愛もないやり取りを夕方近くまでずっと続けていたものだ、
当時を思い出しながらはしゃいでいたが流石に昔のようにはいかないらしい。
すぐに疲れが顔を出してきた。


「あそこで休憩しようか」


目線の先には山小屋があり、そこで小休止する事にした。


子供の頃との違い。
休憩の際に二人はビールを一本づつ飲むことにした。
しかし、何故休日の昼間に飲むビールはこんなに美味いのだろうか。
二人は同時に飲み干し、


「く~~~~」


と声を出した。
全く同じタイミングでびっくりし、顔を見合わせた。
と同時に、自然と笑いがこみあげてしまったのである。