girikenのブログ

40歳の未婚おじさんが描く恋愛小説

【東京上京物語11】20230317

ドアの覗き穴越しに見える彼女は、どことなく落ち着かない表情をしていた。

しかしながら、とりあえず外にいるのは勧誘系の人ではない事ははっきりした。

どうしたのか聞いてみよう。

早速ドアを開けてみると、


「あ、良かった!いた」


と、声をかけてきた。


「おはよう。どうしたの?」


全く状況が掴めないので、二日酔い丸出しの状態ではあるが聞いてみた。


「えっとね。。。」


何かを言いたそうにしながら、ふと箱を渡してきた。


(なんだろう)


何か全く分からずに考えていると、


「この前、お引っ越しのご挨拶品いただいたじゃないですか?私だけもらいっぱなしはダメだなと思って。」


聞いてみると、わざわざ引っ越しの挨拶品を持ってきてくれてたらしい。

更に、平日何度も来てくれていたのだが、自分が全くいなかったので土曜の学校が休みとまで考えて届けに来てくれたのだ。


(そういえば、ここ最近は連日新歓コンパで家にほとんどいなかったからな)


そつ思いながらも、彼女のわざわざ気を使って動いてくれた気配りにただただ感動してしまった。

そして引っ越しの挨拶品を渡した時の健気な姿を見て、温かい気持ちになったのだった。