girikenのブログ

40歳の未婚おじさんが描く恋愛小説

【東京上京物語⑩】20230316

そうこうしながら過ごしていると、やがて大学が始まった。

いわゆるキャンパスライフというやつだ。

まずはサークルを決めておきたい。

4月は、各サークルが新しい入部者を得る為に、どこも活気よく声がけとチラシ配りを行っている。

4月ならではの大学の光景だ。

いくつかのチラシを受け取るものの、やはり一度そのサークルに行ってみないことには雰囲気が味わえない。

とりあえず、興味があっていけそうな新歓コンパは片っ端から行ってみよう。

力也はそう思ったのであった。


そうなると、4月はひたすらに飲み会のラッシュである。

授業が終わり、その後から始まる新歓コンパ。

終電で終わる日もあれば、朝まで続く日もあった。

金曜日に参加したテニスサークルの飲み会は朝方まで続いた。

テニスサークルは飲みサークルである事が多いと言われたりするが、ここの大学はずばりそうであった。

1週間の授業の緊張感も相まって、土曜日の朝はフラフラになりながら帰宅した。

そして家に着くと同時に全身をベッドに投げ込み、泥のように眠るのであった。


どれくらいの時間が経過してしただろうか。

突然、コンコンと音が玄関のドアか、聞こえてきた。


(NHKか宗教の勧誘かな?)


そう思い、一度ノックをスルーしてみた。

すると程なくして、またコンコンとドアをノックすら音が聞こえてくる。


(しつこいな)


二日酔いで体調が優れない中、玄関の覗き穴から外を見てみた。

するとそこに立っていたのは、NHKでも宗教の勧誘でもなく、お隣の女の子だったのだ。