40歳独身貴族のアバンチュール28(0118)
あやと一緒に高尾山へ行って数日後。
健二はふとしれぬ違和感を感じた。
(なんだろう)
違和感の正体がいまいち分からない。
ただ、健二が今ハッキリと思っている事。
(あやに会いたい)
よほど、この前会った時の感覚が昔の感覚と近くて良かったのか。
よほど、居心地が良かったのか。
本人にもなにが良かったのかは分からない。
しかし、異常に会いたいと思ってしまっているのだ。
気付いたら、健二はあやにLINEを送ろうとしていた。
しかし、以前なら簡単に送れたであろう
「今度飯行かない?」
がなかなか送れない。
(なにか、文章おかしくないかな)
(もっと違う誘い方ってないのか)
昔の感覚なら気軽に誘えたのに、何故か誘う事に躊躇してしまっている。
何故かLINEひとつ送るだけなのに緊張をしてしまっている。
携帯を握りしめて早一時間。
悩んでても仕方ないので、シンプルに
「お疲れさん。
この前の高尾山楽しかったね。
今度、仕事終わりにご飯でも行かない?」
とだけ送った。
送った後、ソワソワするかと思いきやものの数秒で返信が来た。
「行きたい!行こう行こう」
その一文を読み、健二は自分では気付かないくらいニヤニヤとしていたのである。
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