girikenのブログ

40歳の未婚おじさんが描く恋愛小説

【東京上京物語⑦】20230310

「えっと、、もしかして、ご迷惑でしたか?

そうであれば、持って帰りますが、、、」


不安そうに、力也は彼女に聞いてみた。


「あ、ごめんなさい!迷惑とかでは一切ないです!ただ、、、」


ちゃんと彼女の声を聞くのは初めてであった。

声も可愛らしく高めの声で、彼女の雰囲気としっかりフィットしていた。

しかし、語尾の「ただ」が気になって仕方ない。なにかやらかしてしまったのだろうか。。


「ただ。。。なにかありましたか?」


失礼な事をしてしまっていたら申し訳ないな。

そう思いながら力也は語りかけた。


「あ、いえ、私も協力引っ越してきて、初めての一人暮らしなんですよ!ただ、お引越しの際にご挨拶をする事とか考えてなかったから、なにも買ってなくて。

いただくのは嬉しいんですけど、私からお渡しできるのが何もなくて。

今度買ってきますね、本当にごめんなさい」


顔を真っ赤にして、ちょっと慌てた仕草で彼女はそう答えた。


良かった、自分が何か気に触る事をしたわけではなかったんだ。

ひとまず、力也はホッと胸をなでおろした。


「いえいえ、僕も挨拶とか必要かわからずに好きで準備したものなので、全然お気になさらずに。そんなに悩ませちゃってごめんなさいね」


力也は笑いながら彼女に話しかけた。

そうすると彼女は満面の笑みで


「ああ、そう言ってもらえてホッとしました。私も初めての一人暮らしで緊張でいっぱい。

こちらこそ、宜しくお願いします!」


と言ってきた。

満面の笑みを見て、


(かわいい)


その言葉が力也の頭にリフレイした。