girikenのブログ

40歳の未婚おじさんが描く恋愛小説

【東京上京物語⑤】20230308

自宅のあるアパートに戻ると、ちょうどお隣さんの引っ越しの作業も終わっているようであった。


「ちょうどいいな」


力也は帰り際、お隣さんのインターホンを鳴らした。

しばらく待ってみたが、応答が無い。

もう一度鳴らしてみる。

やはり、応答が無い。


「引っ越しが終わって、買い物とかに出かけたのかな」


そう思い、一旦自分の部屋に入った。

手土産はまた戻ってきたタイミングで渡そう。

そう思いながら、自分の家のベッドに腰掛けた。


改めて周囲を見渡す。

今日からここで、一人暮らしが始まるのだ。

そう思うと、また意識せずにニヤついてしまった。

はたから見たらただの変人に写ってしまうかもしれない。

しかしながら、このワクワクを抑えつける事ができなかった。


小一時間が経過して、状況が変化した。

バタバタ!という音と共に、隣の部屋から物音が聞こえるようになった。


「あぁ、こんなに隣の音が響くのか」


ふとそう思ったが、丁度帰ってきたみたいなのでさっきの手土産を持ち、お隣に挨拶をしに行こうとインターホンを鳴らす。


「はーーーい」


部屋の奥から声が聞こえる。

どうやら、女性のようだ。


ガチャ


扉を開ける音と共に、住人の女性が現れた。