girikenのブログ

40歳の未婚おじさんが描く恋愛小説

【東京上京物語⑧】20230303分

「あ!私、エミって言います。タカハシ エミです!今回大学に通うために、お引っ越ししてきました」


エミちゃん。

いい名前だ。


しかし挨拶の後も小話をちょっとしたが、どうも彼女がよそよそしい。


(あれ、迷惑だったかな)


場の雰囲気を察して、力也は切り上げる事にした。


「何か困ったことがあったら、いつでも声をかけてくれていいんで!」


そう言うお彼女はニコッと微笑み、


「ありがとうございます。これから宜しくお願いします」


と言って部屋の中は消えていった。

微笑んだ顔も可愛かった。


こうして力也の上京1日目は終了した。

それにしても、なんという事だろうか。

元々今回住む物件はお世辞にも綺麗でお洒落な物件とは言えない。

むしろ、真逆の立ち位置にある物件だ。

だから、お隣も外人の人か年配の方 人だろうと勝手に想像していた。

しかし、現実は自分の好みど真ん中の女の子が同じ日に引っ越してきたのだ。

これからの新生活を考えると、ワクワクが止まらないのであった。

【東京上京物語⑦】20230310

「えっと、、もしかして、ご迷惑でしたか?

そうであれば、持って帰りますが、、、」


不安そうに、力也は彼女に聞いてみた。


「あ、ごめんなさい!迷惑とかでは一切ないです!ただ、、、」


ちゃんと彼女の声を聞くのは初めてであった。

声も可愛らしく高めの声で、彼女の雰囲気としっかりフィットしていた。

しかし、語尾の「ただ」が気になって仕方ない。なにかやらかしてしまったのだろうか。。


「ただ。。。なにかありましたか?」


失礼な事をしてしまっていたら申し訳ないな。

そう思いながら力也は語りかけた。


「あ、いえ、私も協力引っ越してきて、初めての一人暮らしなんですよ!ただ、お引越しの際にご挨拶をする事とか考えてなかったから、なにも買ってなくて。

いただくのは嬉しいんですけど、私からお渡しできるのが何もなくて。

今度買ってきますね、本当にごめんなさい」


顔を真っ赤にして、ちょっと慌てた仕草で彼女はそう答えた。


良かった、自分が何か気に触る事をしたわけではなかったんだ。

ひとまず、力也はホッと胸をなでおろした。


「いえいえ、僕も挨拶とか必要かわからずに好きで準備したものなので、全然お気になさらずに。そんなに悩ませちゃってごめんなさいね」


力也は笑いながら彼女に話しかけた。

そうすると彼女は満面の笑みで


「ああ、そう言ってもらえてホッとしました。私も初めての一人暮らしで緊張でいっぱい。

こちらこそ、宜しくお願いします!」


と言ってきた。

満面の笑みを見て、


(かわいい)


その言葉が力也の頭にリフレイした。

【東京上京物語⑥】20230309

出てきたのは、女性だった。

力也は一瞬、言葉を失った。


その女性は身長が小柄で可愛らしい雰囲気の子であった。

髪は鎖骨くらいまである綺麗な黒髪で、清楚という言葉がぴったりとあてはまるような子であった。

今までずっと北海道で生活していた力也だったが、こんなに綺麗な子を見るのは初めてであった。

むろんテレビでは綺麗な芸能人を何人も見てはいるが、彼の中ではそのテレビの中の子達と遜色違わぬ魅力を感じたのであった。


「あ゛、あ゛の!」


緊張のあまり、つい話しかける声がどもってしまった。

恥ずかしさでいっぱいになったが、バレないように下を向き、軽く深呼吸をした呼吸を整える。


「あ、あの!」


よし、今度はいけそうだ。


「今日から隣に引っ越してきた、力也と言います。一人暮らしが初めてでもしかしたらご迷惑をおかけしてしまうかもしれません。もしうるさかったりしたらいつでも言ってください。

あ!これ、お引越しのご挨拶の際の手土産です。もし良かったら食べてください」


そう言って、先程購入した船橋屋のくず餅を差し出した。

よし、今回は噛まずに言えた。

力也はホッとした。


しかし、女の子の方を見ると、少し困ったような表情をしていた。


(なにか、まずかっただろうか。。)


内心、力也は心配になってしまった。